研究課題/領域番号 |
04670762
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久保田 芳郎 東京大学, 医学部(病)第1外科, 助手 (70170040)
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研究分担者 |
篠崎 大 東京大学, 医学部(病)第1外科, 医員
鮫島 伸一 東京大学, 医学部(病)第1外科, 医員
渡辺 聡明 東京大学, 医学部(病)第1外科, 医員
沢田 俊夫 東京大学, 医学部(病)第1外科, 講師 (50143441)
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キーワード | neuropeptide / 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / vasoactive intestinal peptide / substance P / transitional mucosa / 腸管神経組織 / mucosal immunity |
研究概要 |
1.neuropeptideによる腸管局所免疫反応の制御-炎症性腸疾患の成因、病態に及ぼす影響について:腸管にはNP含有神経組織が豊富でその分布は腸管リンパ装置に一致しており、炎症・免疫反応に重大な影響を与えている。一方、炎症性腸疾患(IBD)には免疫異常が病態に深く関与しているとされる。そこで潰瘍性大腸炎(UC)24例、大腸癌(対照)34例の大腸組織を用いてvasoactive intestinal peptide(VIP)、substance P(SP)を免疫組織学的に染色し画像解析装置で定量的に解析することによってIBDにおけるNPの役割について検討した。その結果uCにおいては対照に比べ粘膜固有層のVIP陽性神経線維が減少しており(3.8±0.6μm/1000μm^2V.S.0.9±0.6)、逆にSPは増加していた。(12.8±2.4V.S.5.6±1.3)。VIPは腸管免疫抑制作用を、またSPは促進作用を有すると報告されており、VIPの減少、SPの増加がIBDの成因、病態の変化に重要な役割を演じている可能性が示唆されると共に、神経系と免疫系の関連が明らかとなった。 2.transitional mucosa(TM)におけるVIP含有神経組織の異常について大腸癌及びTM間質における神経組織について、特にVIPを中心にその異常の有無について免疫組織学的に検討した。その結果、TMではsialomucinの増加と腺窩長の増加(0.81V.S.0.46mm)がみられた。さらにTMではVIP陽性神経線維(2561V.S.9048μm/mm^2)およびS-100蛋白陽性神経線維(4386V.S.13083μm/mm^2)が共に対照より減少していた。以上の結果からTMでは神経組織の異常があり、形態学的、粘液組織学的異常に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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