異種間肝移植の臨床応用に関する実験的検討

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04670763
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 三條 健昌 東京大学, 医学部(病), 助教授 (90114503)
• 研究分担者: 橋本 雅司 東京大学, 医学部(病), 助手 (70221497) ; 國土 典宏 東京大学, 医学部(病), 助手 (00205361) ; 針原 康 財団法人沖中成人病研究所, 研究員 (10189714)
• キーワード: concordant異種移植 / 異種肝移植 / 異種心移植

研究概要

世界的にドナー臓器の不足が深刻化しており、異種移植への関心が高まっているが、ピッツバーグでの臨床例の成績が芳しくなかったこともあり、免疫抑制法や生理学的な影響などの異種移植に関する基礎的な研究の必要性が唱えられている。
本年度はconcordant異種移植での有効な免疫抑制療法を明らかにすることを目的として、ハムスターからラットへの異所性心移植をモデルとして脾摘、デオキシスパーガリン、FKの効果について検討した。脾摘およびデオキシスパーガリンの投与によりレシピエントラット中の抗ハムスター抗体価の上昇をある程度抑えることが可能であったが、急性期を過ぎるとこの組合せのconcordant異種移植では拒絶反応には液性免疫だけではなく細胞性免疫が関与してくると考えられ、FKの併用が必要と思われた。
ハムスターからラットへの肝移植については肝上部下大静脈カフ吻合法を開発しており、ドナー手術41分、カフ装着14分、レシピエント手術52分、門脈遮断時間13.6分ほどの所要時間で73%の収率となっている。なお免疫抑制剤非投与群の生存期間は6.4±0.8日であった。
来年度は心移植モデルにて検討した免疫抑制療法をconcordant肝移植に応用して、比較的長期の生存期間の得られる肝移植モデルにてタンパク分画の変化、アミノ酸組成の変化などのレシピエントに与える影響について検討してゆく予定である。

研究成果

• [文献書誌] 針原康: "ハムスターからラットへの異種肝移植における肝上部下大静脈カフ吻合法の工夫" 日本消化器外科学会雑誌. 27. 597 (1994)
• [文献書誌] Y.HARIHARA: "Simplified Cuff Method for Suprahepatc Veva Cava Anastomosis in Concordant Hamster-to-Rat Liver Xeuografting." Second Iuternational Corgress on Xenotrans plantation(Prograne and Abstracts). 169 (1993)
• [文献書誌] 三條健昌: "肝性脳症の輸液-アルギニンの効果" 臨床雑誌「内科」. 72. 675-681 (1993)
• [文献書誌] 三條健昌他: "MHS-G(肝性脳症用アミノ酸顆粒剤)の第III相 比較臨床試験" 薬理と治療. 22. 559-582 (1994)
• [文献書誌] Kazuyoshi Takahashi,Kensho Sanjo et al: "Ammonia potentiales GAB A_A response in dissociated rat cortical neurons." Neuroscience Letters. 151. 51-54 (1993)
• [文献書誌] 國土典宏他: "Gunnラットの減黄効果からみた肝細胞移植と胎児肝移植および全肝移植との比較" 日本移植学会雑誌. 28suppl. 216 (1993)
• [文献書誌] Norihiro Kokudo et al: "Fetal liver transplantation and adult hepatocyte transplantation in congenitally metabelic diseased rats." The 2nd Sino-Japanese Symposium on hepato-biliary-paucreatic diseases(Program and Abstracts). (1993)
• [文献書誌] Masaji Hashimoto et al: "The effects of trans forming factor alpha and somatostatin on regene rating hepatocytes in the rat." Regulatory Peptides vol44. 49-59 (1993)