研究分担者 |
稲葉 毅 東京大学, 医学部(病), 医員
秋山 義之 東京大学, 医学部(病), 助手
久保田 芳郎 東京大学, 医学部(病), 助手 (70170040)
沢田 俊夫 東京大学, 医学部(病), 講師 (50143441)
|
研究概要 |
本研究の目的は1。切適な炎症性腸疾患モデルを開発し、2.炎症性メジエータとして注目されているインターロイキン-1(IL-1)や腫瘍壊死因子(TNF)のこれらのモデルでの役割を明らかにし、3.腸細胞の機能維持や腸管の炎症抑制.全身の生体反応軽減などを主眼とする治療法を開発するなどである。実験にはモルモットを使用した。 本年度は、まず炎症性腸疾患モデルの作成法を種々試みた。すなわち、炎症意起物質であるカラゲナンのうち、イオタ型を飲用させた。このさいカラゲナンを1NHCl70℃で4時間、濃HCl常温下1時間,40℃15分又は30分で溶解し、それぞれの大腸びらんないし潰瘍形成能をまず検討した。その結果,後3者がいずれもモデル作成に適していることが判明した。つぎにイオタ型カラゲナンの消化管内投与法として,経口自由摂取と胃癌造設投与を比較した。その成績では胃癌造設投与ではモルモットの死亡率が高く,経口自由摂取の方が安定して盲腸を中心とする大腸に潰瘍・ビランが形成されることが明らかとなった。 第3の実験として、このカラゲナンによる大腸潰瘍にどの程度に炎症のメジエータであるTNF,IL-1が関与しているかを,腸管内容のTNF及びIL-1測定で推測することとし,現在,Bioassing法にてそれぞれのサイトカインを測定中である。さらに炎症性腸疾患の治療として今年度はグルタミンをとりあげた。炎症性腸疾患患者とくにクローン病患者で血清アミノ酸濃度を測定すると,炎症の強さと血中グルタミン濃度の低下が相関している例がみられ、グルタミンの投与が治療に役立つ可能性が示唆された。そこで、現在,経口摂取食餌をグルタミン非含有、グルタミン含有にわけ、カラゲナン投与モルモットでの潰瘍形成への影響を検討しているが,これまでの成績ではグルタミン投与が潰瘍形成を抑制する傾向にあることが判明している。
|