研究概要 |
(1)脾臓の必要性についての実験結果:(1)10-12週齢のBALB/cマウスに5×10^5個のColon26の腫瘍を皮下に接種し、Day10に免疫療法剤のOK-432(以下OK)1KEを腫瘍内に注入、Day13,14に抗癌剤Cyclophosphamide(以下CY)70mg/kgを腹腔内投与した。OK+CY群、OK-432のみを投与したOK群、CYのみを投与したCY群で腫瘍の消長を比較検討した。OK+ECY群で、Day24以後、腫瘍は約53%に縮小した。CY群は一時期腫瘍が縮小するも、Day24より再び増大しはじめた。又OK群では腫瘍増値が抑制された。(2)そこでOK+CY投与後、6hr後に脾摘する6hr群と12hr後脾摘する12hr群で腫瘍縮小について検討したところ、6hr群では60%に縮小するのに対し、12hr群では43.7%に著明に縮小した。6hr群、12hr群の脾臓のリンパ球をFACS解析したところTh1.2,L3T4の比は6hr群では高く12hr群は低かった。以上より12hr群で腫瘍の縮小効果がみられ、免疫化学療法の効果発現には、脾臓の存在が必要であることが示唆された。 (2)臨床例での検討:1983年10月より1991年9月まで当科での胃癌切除例500例中Stage II、III胃癌の脾摘群及び脾温存群で免疫賦活剤のOK-432を投与した群としなかった各4群に分け、5生率を検討した。その結果Stage II及びIIIともに脾温存し、OK-432を投与した群は脾摘し、OK-432を投与しなかった群に比し有意に生存率が良好であった。またStage III・OK-432を投与した群では脾温存群の方が脾摘群より生存率が有意に良好であった。脾摘群および脾温存群のそれぞれにおけるOK-432投与非投与には有意差はみられなかった。
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