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1992 年度 実績報告書

食道癌、胃癌の浸潤、転移における局所線溶活性と生物学的悪性度についての検討

研究課題

研究課題/領域番号 04670776
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

柴田 純祐  滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (50128708)

研究分担者 江口 豊  滋賀医科大学, 医学部, 医員
川口 晃  滋賀医科大学, 医学部, 医員
キーワード食道癌 / 胃癌 / 大腸癌 / リンパ節転移 / 線溶活性 / u-PA / PAI-1 / 生物学的悪性度
研究概要

1990年以降の手術切除標本(パラホルムアルデヒド固定)を用いて、食道癌15例、胃癌30例、大腸癌31例のu-PA免疫組織化学染色を施行した。u-PA陽性率は食道癌1/15、胃癌15/30、大腸癌20/31と高率であった。平成4年度はこのうち最も高率であった大腸癌症例につき詳細に検討した。
まず固定法によるu-PAの染色性を検討した所、凍結、ホルマリン、パラホルムアルデヒド各固定法で大きな差は認められなかった。よって、ホルマリン固定標本の1982年により1991年に当科で切除した結腸癌56例、直腸癌89例、計145例を用いて検討した。一方、PAI-1は凍結及びパラホルムアルデヒド固定標本しか染まらず1990年以降の27例について検討した。
(1)u-PAは腫瘍の辺縁部、特に最深部の浸潤部分に陽性で、その細胞質内に顆粒状に認められた。陽性率は結腸癌で56例中16例(16/56、28.6%)直腸癌で32/89(36.0%)、全体では48/145(33.1%)であった。
(2)u-PA陽性(+)群と陰性(-)群でそれらの組織型、壁深達度に差はなかった。u-PAの発現はm癌で2/3、sm癌で6/20と早期より認められた。
(3)PAI-1は20/27(74.2%)において腫瘍近傍の間質の線維芽細胞に陽性で、特に腫瘍組織との境界部分が最も強かった。
(4)n_1以上のリンパ節転移率はu-PA(+)群では32/48(66.7%)で、(-)群の36/97(37.1%)より有意の差(p<0.01)をもって高かった。
(5)5年生存率(kaplan-Meier法)はu-PA(+)群では60.2%で、(-)群の80.9%より有意の差(p<0.05)をもって予後が悪かった。
以上より、u-PAは大腸癌のリンパ節転移と予後判定の新しい因子、つまり生物学的悪性度として有用と考えられる。また線維芽細胞がPAI-1を産生し、u-PAを介した腫瘍の浸潤転移を防御する機構が示唆された。

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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