研究概要 |
まず我々の樹立した食道癌細胞株23株を対象にPRAD‐1/Cyclin Dの発現を検討した。PRAD‐1/Cyclin Dの増幅は34.8%に,mRNAはほぼすべての細胞株で発現を認めた(2倍以上の発現は47.8%であった)。int‐2との一致率は77.8%と高率であった。これら細胞株の得られた患者の予後は有意(p0.05)に不良であった。次いで82例の新鮮切除標本について検討では、17例(26.1%)にPRAD‐1/Cyclin Dの増幅を認め、この遺伝子増幅の認められた患者の予後は悪い傾向にあった(P=0.075)。発現の認められないint‐2に代わる新しい食道癌の予後因子としての可能性が示唆された。 一方、無蛋白培養可能性との関連では、PRAD‐1/Cyclin D発現は92.3%の高率に認め無蛋白培養との関連性が示唆されたが、PRAD‐1/Cyclin Dの増幅は46.2%に認めたのみであった。またPRAD‐1/Cyclin Dの増幅を認めた75%、PRAD‐1/Cyclin D発現を認めた60%に無蛋白培養が可能であった。 現在抗体を作成し染色による発現を検討中で,培養上清の濃縮も継続している。
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