今回は我々の樹立した食道癌細胞株29株を対象にp53mutationを検討した。29細胞株のうち22株(75.9%)の高率にSSCP法でshiftがみつかった。シークエンスによりexon5に6株、exon6に8株、exon7に8株、exon8に3株のpoint mutation(重複あり)が認められた。p53のmutationが培養の過程で生じたものか、p53にmutationのあるものが培養可能となるのか、初期の頃の細胞株のsampleでの検討ならびに切除標本との対比を行う予定である。一方、無蛋白培養可能細胞では7株中5株(71.4%)にmutationを認め、exon5に3株、exon6に1株、exon7に1株mutationを認めたがp53のmutationと無蛋白培養との関連性は認めなかった。mutationの位置は有血清のときとほぼ同一であった。有血清でmutationを認めなかった3株の無蛋白培養可能細胞では1株に新たにp53のmutationを認めた。 一方、CyclinD1との関係は13株のCyclinD1無増幅細胞のうち11株(84.6%)にp53のmutationを認め、このうち5株にCyclinD1のmRNAの2倍以上の発現を認め、3株では4倍以上の発現であった。 現在、これまで行ったCyclinD1についての検討に続いてCyclinD2.D3についても検討を行いさらにsdi1/cip1/waf1/p21についての検討を行い細胞周期との関連を明らかにする予定である。
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