研究概要 |
OK-432 5KE/fibrinogen 80mgの混合液で局所免疫療法を施行した大腸癌患者の所属リンパ節を用いて,総計353個のハイブリドーマを作成し,その中から100ng/ml以上のヒト型イムノグロブリン(IgM)を産生する116個のハイブリドーマを選別した.さらに大腸癌細胞株LS174Tとの反応性が強い9つのクローンを選び,免疫組織学的に大腸癌と反応するが正常大腸粘膜とはほとんど反応をしめさない5つのクローンを選択した.その中で,がん組織と最も強く反応するヒト型イムノグロブリンを産生する1クローン(YJ-37)を詳細に検討した.YJ-37の認識する抗原の性状を知るため,免疫染色する組織切片の酵素処理による反応性の変化を調べたところ,trypsin消化の影響をうけず,sialidaseや過ヨウ素酸処理により著しい反応性低下をきたすことからそのepitopeはシアル酸を含む糖鎖であることが示唆された.さらに各種の抽出脂質および精製脂質との反応性をHPTLCおよびELISA法で検討したところ,その抗原はsialylated lacto-seriesで,IV^3NeuAcα-Lc^4およびIV^3NeuAcα-nLc^4であろうと考えられた.また,同様の局所免疫療法を甲状腺未分化癌患者に対して施行し,同様の手法でハイブリドーマを作成したが,その中の1クローン(3C5)は,同一人の腫瘍細胞から樹立された細胞株(KOA-2)や甲状腺癌細胞(anaplastic & pappillary carcnoma)および乳癌細胞と反応するが,多くの正常組織とは無反応あるいは微弱な反応をしめすのみであることが分かった.
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