研究課題/領域番号 |
04670787
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
桑野 博行 九州大学, 医学部, 助手 (90186560)
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研究分担者 |
定永 倫明 九州大学, 医学部, 医員
池部 正彦 九州大学, 医学部, 医員
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キーワード | 食道癌 / 浸潤 / TypeIVcollagenase / In situ hybridization |
研究概要 |
蛋白分解酵素による細胞外マトリックスの破壊は癌の浸潤および転移のメカニズムにおいて重要な働きを担うと考えられている。特にTypeIVcollagenaseは基底膜の主要構成成分であるTypeIVcollagenを特異的に分解する酵素であり、癌組織におけるその発現の意義が注目されている。本年度は食道癌におけるこの酵素の発現およびその局在についてIn situ hybridization法を用いた解析を行った。本年度までに食道癌患者約30例の切除標本より癌組織を採取し、固定後凍結保存した。これらの標本に核酸染色を施し、十分量のRNAが保持されていることが確認された21例を対象として、癌の浸潤部と非浸潤部(上皮内癌部)におけるその発現の差異、および陽性細胞の局在を検討した。プローブとしては感度、ならびに特異性の高い合成Oligonucleotideプローブを用いた。mRNAの発現レベルは進行癌ほど高いのに対して非浸潤部では検出されず、この酵素の癌浸潤への関与が示唆された。一方、表在癌にも陽性例が認められ、個々の癌種の浸潤性の差異を反映しているものと考えられた。また、局在については、従来癌組織における蛋白分解酵素の産生細胞は間質細胞が主体であるとの報告が多いの対して、食道偏平上皮癌におけるTypeIVcollagenase に関しては癌細胞が中心であることが判明した。また、一部の症例、特に間質細胞に富む組織においては線維芽細胞にも陽性例が認められ、癌組織における腫瘍間質の癌の浸潤への関与が示唆された。
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