研究概要 |
1.OK-432で12時間以上刺激した単核球は、その後培養素からOK-432を除去しても〓L-1,〓FNα,〓FNγ,TNFα,TNFβ,TGIFなど種々のサイトカインを産生し続ける事が判明した。PHAや〓L-2処理によっても〓FNγを中心とするサイトカイン産生が認められたがその種類及び程度はOK-432に比べ低い。また,PSK,レンチナンのサイトカイン産生能力は最も低かった。またサイトカイン生産能は個体差が大きい。 2.培養腫瘍細胞、手術時摘出新鮮腫瘍細胞を標的細胞としたin vitroにおけるサイトカインの組合わせを検討した結果、IFNαとIFNγ,IFNαとTNFα,IFNαとTGIF,IFNγとTGIF,IFNγとTNFαなどの間に相乗的細胞増殖抑制効果が認められ、これらの結果からOK-432処理単核球の産生する多サイトカイン混合物は単一の遺伝子組み替えサイトカインに比べ著しい腫瘍細胞増殖抑制活性を示し、作用もより殺細胞的で、増殖抑制スペクトラムも極めて広い事が判明した。 3.以上の結果から現時点では単核球を12-24時間in vitroでOK-432処理した単核球がサイトカイン産生の面からみて理想的であり、単核球のソースとしては末梢血単核球ついで脾細胞単核球が適当であり、リンパ節および癌性胸腹水中の単核球も使用可能である。サイトカインの中心的役割をなすTGIFの精製は平成4年度では目的を達成できなかった。但し、negative selection法により産生細胞はT-リンパ球であると推測された。今後、引続き本物質の精製、抗体作製に精進する。 4.以上の結果よりOK-432処理自己単核球の腫瘍局所への投与(多サイトカイン産生単核球移入療法)を胃癌、口腔領域癌、脳腫瘍患者を対象に行った。胃癌、口腔領域癌に対しては特に問題となる副作用は認められず臨床応用可能と判断された。脳腫瘍に対しては発熱、血圧低下症例を経験し、本療法との関連性を更に検討する必要がある。
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