研究課題/領域番号 |
04670792
|
研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
宮原 正樹 大分医科大学, 医学部, 講師 (10183641)
|
研究分担者 |
斉藤 貴生 大分医科大学, 医学部, 助教授 (20037443)
下田 勝広 大分医科大学, 医学部, 助手 (90211292)
|
キーワード | ラミニンA鎖 / ラミニンB_1鎖 / ラミニンB_2鎖 / ラミニンレセプター / 大腸癌 / ノーザンブロット法 / mRNA / 臨床病理学的因子 |
研究概要 |
1.大腸癌におけるラミニンmRNAの発現の検討 ラミニンA鎖、B1鎖、B2鎖DNAをプローブとして、大腸癌切除症例17例の切除標本における癌部および非癌部より抽出した全RNA、オリゴdTセルロースカラムにてさらに精製したpoly A RNA(mRNA)についてノーザンブロットを行い、同遺伝子の発現の有無について検討した。B1鎖については、検討した17例全例の非癌部に発現が認められたが、癌部においてはその発現は検出されなかった。また、A鎖、B2鎖はいずれも、検討した症例において癌部、非癌部ともにその発現は検出されなかった。これらの結果から、ラミニンmRNAの発現が、癌部において非常に少ないか、その分解速度が亢進している可能性が考えられた。 2.大腸癌におれるラミニンレセプターmRNAの発現の検討 32kdラミニンレセプター蛋白をコードするDNAをプローブとして、大腸癌切除症例26について1.と同じ方法により、癌部、非癌部における同遺伝子のmRNAの発現を検討した。同mRNAの発現は、検討した26例全例に認められた。その発現量をデンシトメーターを用いて数量化し、癌部と非癌部の比を計算すると、70%の症例で癌部が非癌部に比べ発現量が増していた。26例を、癌部における発現量が多かった20例(+群)と少なかった6例(-群)に群別し、臨床病理学的諸因子との関係を検討した結果、癌の深達度がs,a2以上の症例は+群8例/20例、-群1例/6例、静脈侵襲陽性例は+群6例/20例、-群0/6例、肝転移陽性例は+群4例/20例、-群0/6例と、+群が-群に比べ局所浸潤、肝転移ともに高頻度である傾向が認められた。これらの結果は、大腸癌の肝転移予知因子としてのラミニンレセプターmRNA定量の有用性を示唆しているものと考えられた。
|