研究概要 |
大腸癌におけるラミニンレセプターmRNAの発現の検討 32Kdのラミニンレセプター蛋白(LBP32)をコードするDNAプローブおよび対象としてbetaアクチン(beta-actin)のDNAプローブを用いて、大腸癌切除症例64例(平成4年度の26例に平成5年度の38例を加えた)の切除標本の癌部および非癌部より抽出したmRNAについてノーザンブロツトを行い、その発現量をデンシトメーターで数値化し、癌部と非癌部の発現量を比較した。LBP32の発現量(LBP32/beta-actin)の平均値は、癌部で1.395、非癌部で0.896であり、癌部において有意に発現の亢進が認められた(p<0.005)。また、直腸癌は結腸癌に比べ有意に発現量が多かった。(p<0.001)。壁深達度別にみると、ss,a_1症例はpm以下の症例に比べ有意に発現量が多かった(p<0.05)。しかしながら、静脈侵襲、リンパ節侵襲、リンパ節転移および同時性肝転移に関しては、その有無による発現量の差は認められなかった。また、組織型についても差は認められなかった。治癒切除後の肝転移再発に関しては、観察機関が短いため現在の時点では一定の傾向は得られていない。
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