研究概要 |
ラットhep1遺伝子cDNAクローンは、肝実質細胞のλgt22A cDNAライブラリーからdifferential plaque hybridization法により単離された完全鎖長cDNAクローンで、インサートDNAの大きさは約2.7Kbである。本遺伝子の各臓器における発現をみると、心臓、脾臓および胎盤で強く、そして骨格筋ではわずかに発現していた。肝臓および膵臓での発現は認められなかった。インサートDNAをプラスミドpBluescript IISK(+)にサブクローニングして塩基配列の一部(約800bp)を決定し、データベイスによりhomology検索を行ったところ、ラットPC12細胞をNGFで刺激した場合に発現してくるPC3遺伝子cDNAの塩基配列と同じであることが分かった(Bradbury,A.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88,3353-3357,1991) ラットのhep1遺伝子(rnhep-1)をプローブとしてヒト胎盤cDNAライブラリー(米国Clontech社製)をスクリーニングし、約3.1Kbの完全鎖長cDNAクローンを得た。これをプラスミドpBluescript IISK(+)にサブクローニングしたのちその塩基配列の一部(約400bp)を決定した。得られたクローンと相同性の高い遺伝子を検索したところ、rnhep-1との相同性が約80%と最も高かった。hshep-1は染色体マッピングにより1番の染色体に乗っていることが分かった。ヒト肝実質細胞由来のHep3B細胞におけるhshep-1の発現をNorthern blot hybridizationb法により調べたところ、心臓等に比べ発現量はごくわずかではあるが、増殖期に多く休止期には少ないという、細胞周期に一致した発現がみられた。また増殖期にある子宮内膜に強く発現していた。hum-hep1が子宮内膜のどの細胞に発現しているかをin situ hybridization法により調ベたところ、内膜上皮細胞と内膜腺上皮細胞に発現していた。
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