研究課題/領域番号 |
04670801
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
熊井 浩一郎 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (30101984)
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研究分担者 |
多田隈 卓史 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (30051626)
柴多 三省 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50216008)
清水 宏之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00206210)
平畑 忍 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40189858)
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キーワード | アドリアマイシン / リポソーム / モノクローナル抗体 / F(ab')_2 / ガングリオシドGM_1 / リンパ節転移 / 内視鏡下局注 / 温度感受性DDS |
研究概要 |
アドリアマイシン封入リポソーム(Lip-ADM)をegg PC、cholesterolを主成分として作製し、以下の検討を行った。 1.ターゲテイング効果増強を目的としてLip-ADM表面に結合するモノクローナル抗体を、従来の抗ヒトalpha-feto-protein(AFP)抗体(19-F-12、subclass IgG2b)がF(ab')_2化できなかったことから、抗CEA抗体(21B2、IgG1)に変更した。21B2はペプシン処理にてF(ab')_2化し、これを還元してFab'とし架橋剤を用いずLip-ADMに結合させた。これにより、抗体活性は良好に保持され、CEA産生胃癌xenograft MKN-45を用いたヌードマウスシステムにおいて、wholeの抗体結合時に比し有意の腫瘍増殖抑制が得られた。しかし、一方の目的であった網内系組織への捕捉対策としては十分でなかったため、リポソームの組成変更を行った。ガングリオシドGM_1を組成に加え、egg PC、cholesterol、GM_1、DTP-DPPEのモル比を10:5:0.75:0.16とすることにより、肝、脾への捕捉が有意に減少した。 2.Lip-ADMのリンパ組織指向性を利用した内視鏡的粘膜下局注によるリンパ節転移に対するDDSの実験的検討を行った。家兎を開腹し胃漿膜下にVX-2腫瘍を移植することにより、胃領域リンパ節転移モデルを作製し得た。このモデルを用い、胃内視鏡下にLip-ADMの粘膜下局注を行った。結果は、領域リンパ節への高濃度ADM到達と、control群、free ADM局注群に比し、有意の抗腫瘍効果増強が得られた。 3.Lip-ADMの組成として相転移温度(Tc)41゚CのDPPC、54゚CのDSPC、cholesterolをモル比7:2:3で作製すると、42゚Cに、封入ADMの放出ピークを有する温度感受性のDDSを作製し得た(TS-Lip-ADM)。TS-Lip-ADMによるADMの腫瘍到達性、抗腫瘍効果増強をはかるため、抗AFPモクローナル抗体F6を結合させるターゲテイング(TS-Lip-ADM=Ab)のヌードマウスシステムでの実験的至的条件は、静注投与1時間後の、腫瘍局所42゚C、15分加温であった。
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