研究概要 |
Syrian golden hamsterの腰部皮下に発癌物質としてdiisopropanolnitrosamine(DIPN)500mg/Kg体重を週1回の頻度で10週間投与した。ハムスターは実験開始より標準固形飼料投与を受けたDIPN対照群、0.5%taurocholic acid含有飼料投与を受けたDIPN-TCA群、0.5%deoxycholic acid含有飼料投与を受けたDIPN-DCA群の3群に分けられた。10,15および20週目に各群ハムスターの胆管胆汁を採取し、胆汁中の胆汁酸分析を3α-HSD固定化酵素カラムを使用した高速液体クロマトグラフィーにて行い、胆汁酸組成比率の変化を検索した。 平成6年度に得られた成績は以下の如くである。 1.Cholic acidとdeoxycholic acid組成比率 10,15および20週目におけるDIPN-TCA群とDIPN-DCA群の胆管胆汁中のcholic asid組成比率は、DIPN対照群に比し、いずれの週でも明らかに低下し、一部において両者間に有意差がみられた(p<0.05)。 deoxycholic acid組成比率はDIPN対照群が各々3.9,4.1および6.9%で、DIPN-TCA群が16.6,35.1および34.7%であり、DIPN-DCA群が26.9,35.4および40.3%であった。いずれの週においても胆汁酸負荷両群に比率は対照群に比し有意に高率であった(p<0.01)。 2.その他胆汁酸組成比率 胆汁酸負荷両群のchenodeoxycholic acid組成比率は対照群に比し有意に低下していた(p<0.01)。一方、ursodeoxycholic acidと1ithocholic acid組成比率は各群間で著差がなった。 3.一次あるいは二次胆汁酸のいずれを負荷しても胆管胆汁中では一次胆汁酸(CA)の減少と二次胆汁酸(DCA)の増加が生ずることから、二次胆汁酸(DCA)の胆管細胞癌発生に対する関与が推察された。
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