研究概要 |
生体の腫瘍防御機構として浸潤リンパ球(TIL)は局所免疫監視能を有している。そこで、胃癌のTILサブセットを測定、癌局所における宿主免疫応答を検討し、癌の生物学的悪性度を示すDNA ploidy patternとの関連を解析する。 平成4年度は、切除胃癌553例中腹膜播種P(+):34例,肝転移H(+):30H(-):22例の108例を対象にFlow cytometryを用いたDNA ploidy pattern,DNA index (DI)とPCNA標識率(LI)からretrospectiveに胃癌の転移形式を検討した。DNA aneuploidyの頻度はP(+):50%(17/34),H(+):80%(24/30),P(+)H(+):77%(17/22),P(-)H(-):36%(8/22)であり、H(+)とP(+)H(+)は有意に高率であった(P<0.01)。DIの比較では、P(-)H(-)とP(+)は全例DI≦1.6であるのに対し、H(+)の23.3%、P(+)H(+)の31.8%にDI≧1.7のDNA aneuploidyを認めた。また、108例のPCNAのLIは17〜87%であり、P(+):47±18%、H(+):62±11%、P(+)H(+):54±15%であり、P(-)H(-)の46±12%に対し、H(+)とP(+)H(+)は有意に高率であり、DNA ploidy PatternとLIに有意の相関を認めた(P<0.05)。 TILサブセットの測定は、現在41例に対して行なったが、DNA aneuploidy症例の方がCD4/8比は高い傾向にあった。平成5年、6年度の研究で症例を増やしより詳細な検討を加える。
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