研究概要 |
我々はDNA ploidy pattern,DNA index(DI)およびPCNA labeling index(PCNA LI)と胃癌の遠隔転移との関係を検討した.また末梢および局所におけるリンパ球サブセットとDNA ploidy patternをFlow cytometryを用いて解析し,癌の悪性度と宿主の免疫反応の関連性について検討した.宿主免疫反応の検討は,胃癌患者120例の癌組織,第1群リンパ節,末梢血よりリンパ球を分離し,Leu4とLeu12,Leu3aとLeu2a,Leu2aとLeu15,Leu3aとLeu8抗体による2重染色を行った.癌の悪性度の検討は,DNA ploidy pattern,DIは癌細胞をSchutte-Vindelφv法にてパラフィン包埋組織から分離後Propidium iodide染色を行った.両者はFACScan Flow cytometerを用いて解析した.PCNA LIはLSAB法にて染色し測定した.これらの検討よりDI=1.0かつPCNA LI≦40%では無再発生存が期待できるのに対して,DI=1.0でもPCNA LI≧50%では腹膜播種,PCNA LI≧60%では肝転移の可能性が示唆された.1.1≦DI≦1.6では,PCNA LI≦40%に長期無再発生存が期待できるのに対して,PCNA LI≧60%では腹膜播種と肝転移の可能性が高率であることと,またDI≧1.7では病理組織型とV因子に関係なく肝転移する可能性がきわめて高率であることが判明した.一方,癌と宿主免疫反応の関係では,DNA ploidy patternとsurgical stage別に腫瘍浸潤リンパ球のCD4/8比をみると,DNA diploidyではstageの進行に従い低下するのに対し,DNA aneuploidyではstageによる変化は認めなかった.またstageIVのCD4/8比はDNA aneuploidy(1.21±0.53)がDNA diploidy(0.73±0.45)に比べ有意に高かった(p<0.05).組織型別にTc/Ts+Tc(%)をみると高分化腺癌が95.1±3.3で他の組織型に比べ有意に高値を示し(p<0.005),T cell/T cell+B cell(%)も分化度の高い癌で高い傾向を示した.以上より,予後が良好であるDNA diploidyではstageが進ほど,組織型では分化度の高い癌でTcが相対的に増加することが推測された.
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