研究概要 |
平成5年度の研究計画にもとづいて、ヒト大腸癌培養細胞(KM12SM)をヌードマウスとヌードラットの盲腸壁に移植し、肝転移モデルと肺転移モデルを作製した。ヌードマウスの肝転移率は12/21(57%),ヌードラットの肺転移率は11/13(85%)であった。ヌードマウスでのmmp分泌能を検索するに、正常盲腸に比較して盲腸癌部ではmmp2とmmp-9の分泌が高かった。又、肝転移をきたした盲腸癌では、mmp-2,mmp-9の分泌はさらに高かった。肝転移巣でのmmp-2,-9の分泌は、約3割において、原発巣(盲腸癌)と分泌能の変化を認めた。 当初の計画目的を達成し、加えて、ヌードラットの肺転Iモデルも作製した。移植盲腸壁と肝転移巣でのmmp分泌能の検索結果からは、原発巣ではmmp-2,-9は浸潤(とくに脈管内へのinvasion)には強く関与していることがわかった。さらに転移に関しても、特にmmp-9の関与が考えられると同時に、他の種々の因子の関与も複雑に関係していることが考えられた。
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