妊娠100〜120日の羊5頭をおよび、妊娠山羊2頭を用いて、合計7回の実験をおこなった。胎仔に対して子宮内手術により左肺動脈を下行大動脈に端側吻合をおこなった。胎仔の体重は約1500グラムと極めて小さく、子宮内操作であるために視野が大変狭く、手術操作には新生児用の特殊な器機を必要とした。胎仔に対する手術を完了し母羊および母山羊の子宮内に還納し経過を観察したが、7頭とも術後1〜30日で子宮内死亡、死産であった。子宮内手術手技に習熟する必要性が痛感されるとともに、胎仔に対する手術侵襲が過大であった可能性もあると考えられた。生存モデルが得られなかったために、当初の目的である肺血管床の組織学的検索はおこなえなかった。 しかし、妊娠羊ばかりではなく妊娠山羊を実験動物としての子宮内手術を行うことが可能となり、今後の実験の進展を期待出来るものとかんがえられた。
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