研究概要 |
昨年度までに正常肺の接着分子の発現及び肺内のリンパ球の機能的特徴を報告してきた。本年度は同系及び異系間の肺移植を行い、拒絶の際に接着分子がどの様な変化をするかを免疫組織化学染色とフローサイトメトリーを用いて解析し以下の結論を得た。 1.BN→LEWの異系間肺移植では移植肺は7日以内に拒絶された。 2.免疫組織化学染色では拒絶の進行に伴いLFA-1陽性細胞が経時的に増加した。一方ICAM-1は正常肺においても肺胞上皮や血管内皮に発現しており、拒絶の進行による発現の変化には乏しかった。 3.フローサイトメトリーを用いた二重染色による解析では、拒絶反応の進行に伴い浸潤T細胞のLFA-1,ICAM-1の蛍光強度が増強し、T細胞上の接着分子の発現が増加していることが明らかとなった。 4.正常ラットに抗LFA-1,抗ICAM-1モノクローナル抗体を投与すると、細胞数に変化はなく各分子が抗原変調をうけることが判明した。 5.肺移植における抗LFA-1抗体及び抗ICAM-1抗体の効果については現在検討中である。
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