研究概要 |
正常気管支組織酸素分圧に及ぼす吸入酸素濃度の影響 ブタを用いて正常気管支の組織酸素分圧に及ぼす吸入酸素濃度の影響について検討した。全身麻酔下に開胸し左主気管支の膜様部で組織酸素分圧の測定を行った。吸入酸素濃度は21%、50%、100%の3段階とし、それぞれの酸素濃度による換気を10分行った後、気管支組織酸素分圧を5回測定した。5回の測定値の中央値を代表値とした。また同時に動脈血酸素分圧と静脈血酸素分圧を各1回測定した。5頭のブタで測定を行った結果、吸入酸素濃度21%では気管支組織酸素分圧は63.0±20.0mmHg,動脈血酸素分圧は83.7±24.7mmHg、静脈血酸素分圧は40.8±7.6mmHgであった。吸入酸素濃度50%では気管支組織酸素分圧は128.0±26.6mmHg,動脈血酸素分圧は325.4±48.3mmHg、静脈血酸素分圧は54.1±13.4mmHgであり、吸入酸素濃度100%では気管支組織酸素分圧は172.4±56.1mmHg,動脈血酸素分圧は582.0±46.5mmHg、静脈血酸素分圧は64.1±13.3mmHgであった。 気管支組織酸素分圧は静脈血酸素分圧よりかなり高い値を示した。その較差は吸入酸素濃度21%で22.2mmHg、50%で73.9mmHg、100%で108.3mmHgとなり、吸入酸素濃度の上昇に伴い気管支組織酸素分圧は静脈血酸素分圧より大きな影響を受ける事が示された。 正常気管支組織酸素分圧の検討結果をふまえ、平成5年度では、移植された肺の気管支組織酸素分圧について、気管支動脈を再建するグループと再建しないグループに分け測定し、肺移植における気管支動脈再建が気管支組織酸素分圧に及ぼす影響について検討する予定である。
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