Nucleoside transport inhibitor(NTI)による心筋保護効果に関する検討 ラットの摘出灌流心を用いKrebs-Henseleit SolutionによるLangendorff灌流を行った。虚血中の心筋温を低温(10℃)に保った場合には虚血終了時の心筋中のATP濃度は高値を保っており再灌流後の心機能回復も良好であった。虚血中の心筋温を25℃を保った場合にはNTIの有無に関わらず再灌流直前のATP濃度は10℃群と比較し約半分に減少していた。しかし、25℃であってもNTIを心筋保護液に投与した場合には心筋内のアデノシン濃度は投与しなかった場合に比べ約8倍の濃度を保っており、再灌流後の心機能は10℃に保った群と同程度の回復率を認めた。低温虚血の場合にはNTIは効果的ではなかったが、中等度低温虚血に対しては内因性アデノシンを介した心筋保護効果が示された。 AcadesineとNucleoside transport inhibitor(NTI)併用による心筋保護効果に関する検討 ラットの摘出灌流心を用いKrebs-Henseleit SolutionによるLangendorff灌流を行った。10℃の低温虚血に対しては、AcadesineとNucleoside transport inhibitor(NTI)の単独投与では充分な心筋保護効果を発揮しなかった。一方、両者の併用では内因性アデノシンを介した心筋保護効果が認められた。Acadesineにより虚血中に産生されたアデノシンの崩壊をNTIが抑制したものと思われた。
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