骨格筋による心機能補助(cardiomyoplasty)を目的として1987年より基礎的研究を進めており、これまでに骨格筋が耐疲労性を獲得するために必要な骨格筋の形質転換、血行改善および骨格筋の出力に関する知見を得ていた。 平成五年度はこれらを基にして実際に骨格筋を駆動源とした補助循環装置の作製を試みた。雑種成犬を用いて、急性期実験にて広背筋を駆動源に用いた補助循環装置を作製し、その出力特性の計測を行ったところ、短時間においては心機能補助を行うに足る出力を有する事が示唆されたが、骨格筋疲労のため出力を維持することは難しかった。実験に供した頭数が少なく十分な評価ができなかったが、骨格筋が持つ出力はポンプを駆動し心機能補助を行うに足る出力を有すると考えられた。 しかし臨床に応用するうえでは、【.encircled1.】骨格筋の持つ出力をむだなく利用するためのポンプ設計の十分な検討、【.encircled2.】耐疲労性獲得のための処置を行った骨格筋を用いた慢性期における出力特性の評価、が必要であり、さらなる検討を要すると考えられる。
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