外科的切除を行なった84例の肺癌で、組織型別にCisplatin(CDDP)感受性とグルタチオン関連酵素ならびに増殖抗原発現の関係を検討した。感受性の判定は腫瘍細胞をCDDP加RPMI溶液と培養し、DNAヒストグラムでS期あるいはG2M期の増加がみられるものをCDDP感受性群、無変化のものを非感受性群とした。また免疫組織学的にGlutathioneperoxidase(GPX)、Glutathione reductase(GR)、Proliferating Cell Nuclear Antigen(PCNA)、Epidermal Growth Factor Receptor(EGFR)の発現を酵素抗体間接法で調べた。対象症例のCDDP感受性率は33%で、組織型別では小細胞癌86%、大細胞癌40%、扁平上皮癌31%、腺癌6%であった。CDDP感受性とGPX、GR発現には逆相関が認められ、各組織型においてCDDP感受性率、GPX、GR発現頻度に有意差があった。CDDP感受性群は非感受性群に比べて、GPX、GR発現が有意に低く(p<0.01)、非小細胞肺癌ではPCNA、EGFR発現が有意に低かった(P<0.05)。これらの所見よりグルタチオン関連酵素ならびに増殖抗原の免疫組織学的検索は肺癌のCDDP感受性の推定に有用と考えられた。現在In vitroによるフローサイトメトリーを用いたCDDP感受性試験ま正当性を確認するために手術後再発した感受性群患者にCDDPを投与し、in vivoにおける再発巣の縮小効果を試験中である。またCDDP感受性群と非感受性群患者にCDDPを投与後、両群間に生存率の差がみられるか否かを検討中である。
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