研究課題/領域番号 |
04670851
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大野 喜久郎 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50014238)
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研究分担者 |
平川 公義 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00010166)
青柳 傑 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (40134704)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | Argon laser / Malignant brain tumor / Photoradiation / Rat C6 glioma model |
研究概要 |
移植脳腫瘍に対する光化学療法の効果は、HpD静注後24時間でも72時間でも同程度に、脳腫瘍および皮下腫瘍共に照射部位に一致して約4mmの深さで腫瘍細胞の変性あるいは壊死がみられることにより示された。ソフテックス撮影では、脳および皮下腫瘍共に照射部位に一致して腫瘍血管の造影が不良で、血流障害が認められた。24時間後の早期からすでに腫瘍細胞の変性および壊死と血流障害が同時にみられていることから、またin vitroでの研究結果から、腫瘍細胞に対する作用と栄養血管に対する作用の両者が初めから関与していることが推定される。 臨床症例における光化学療法の治療結果は、HpDを使用した6例では、再手術により摘出された病理組織標本における検討上治療効果と考えられる所見が見られたものの、著明なものではなく再発までの期間や生存期間の点からも効果ありとの結論は導きだせなかった。しかし、最近の1症例では光化学療法の著明な効果と考えられる所見が得られた。まだ日本では入手困難なPhotofrin IIを使用し、腫瘍の再発を疑い再手術したが、摘出標本の病理組織学的検索では腫瘍細胞のnestが一部あるものの大部分は腫瘍そのものではなく壊死組織であった。放射線壊死ではなく、光化学療法による結果と考えられた。この症例での特徴は、(1)HpDより強力な光感受性物質であるPhotofrin IIを使用したこと、(2)レーザー光の出力を高くしたこと、(3)腫瘍を肉眼的にほぼ全摘出したことなどであった。この新しい光感受性物質には、悪性脳腫瘍に対するきわめて高い治療の可能性があると思われるので、今後これを用いて光化学療法を行ない、症例数を増加させてその有効性を確認することが望まれる。
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