研究課題/領域番号 |
04670856
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
山田 弘 岐阜大学, 医学部, 教授 (40021365)
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研究分担者 |
竹中 勝信 岐阜大学, 医学部, 助手
西村 康明 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (60198512)
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キーワード | vasospasm / calcium / smooth muscle cell / nitric oxide / hemoglobin / cerebrospinal fluid |
研究概要 |
病態解明には、種々のアプローチがあり、私どもはそのうちの一つである培養細胞を用いた実験を主に行ってまいりました。しかしながら、この実験系は、生体外から切り離された環境内で生存する細胞に関しての情報であるため、そのまますぐ生体内でのできごととしてとらえることは危険であると承知した上で、この系のもつ有意性を考えると相互の細胞独自の反応を詳細に経時的に観察視察でき、外界からの刺激応答による細胞内メカニズムについても研究が可能であり、さらには多種類の細胞間の相互関係において役立つ情報を与えてくれるものと考えます。今回はこれまで私どもが行ってまいりました培養平滑筋および内皮細胞を用いた結果について報告させて頂きます。培養平滑筋細胞は主にラット大動脈中脈平滑筋細胞(後にブタ脳底動脈)より、内皮細胞はウシ内皮動脈より単離、培養したものを用いました。 [結果]1.ヘモグロビンの作用機序:平滑筋細胞にヘモグロビンを添加したことにより細胞内Ca^<2+>濃度の上昇と収縮を認めた。この収縮は持続し、その後細胞骨格系タンパク質の変化を引き起こした。内皮細胞においては、ヘモグロビンよりphospholipase A2を介する細胞内から細胞外へのアラキドン酸の放出を伴った形態の変化を認めた。その他、エンドセリン等血管収縮物質を添加し平滑筋細胞内Ca^<2+>上昇をヘモグロビンと比較した結果、エンドセリンは最も低濃度で最大の上昇が認められ、ヘモグロビンは高濃度を必要としてもののエンドセリンと同程度のCa^<2+>の上昇作用を認めた。2.くも膜下出血後の患者脳脊髄液に関する研究:この細胞内Ca^<2+>上昇を指標としてくも膜下出血後患者の脳脊髄液中よりCa^<2+>上昇作用物質を液体クロマトグラフィにて精製を行ったところ分子量約80kDaのトランスフェリン様物質であることが判明した。
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