研究概要 |
(1)ラット脳毛細血管内皮細胞の培養系を確立し、第八因子が組織化学的に一様に存在し、PGI2などの内皮細胞特有の生理活性物質の存在も確認した。secondary cultureを用いて細胞間反応研究用チャンバーの多孔性膜(collagen処理)に一様な内皮細胞層を形成することに成功した。この膜はsucroseに対して不完全な透過性を示すことを確認した。 (2)共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いて、脳血管内細胞の細胞内Caのin vitro,real timeの観察を可能とした。共焦点レーザー顕微鏡の載物台上に温度、酸素濃度,PHを一定に保つ還流装置を作製し、無酸素実験、各種生理学的実験を可能とした。高浸透圧刺激により細胞内Ca濃度の変化が観察され、高浸透圧による可逆性のBBB openingに細胞内Caが関与している可能性が明らかにされた。コラーゲン膜(Cellugen)を用いたin vitro BBB実験が完成し、14C-Sucrose、Ethylenglycole、Leucineを用いて確認した。leulotrien C4,serotonine等のchemical mediatorによるBBB透過性の変化も確認した。以上の結果は、1993年度国際脳浮腫シンポジウムにおける、パネルディスカッションに採択され、monographとして発行される。 (3)神経膠細胞とのcocultureに関しては、いくつかの困難な課題を残している。C6グリオーマとのcocultureを試みると共に、新生ラット脳を用いて星状神経膠細胞の分離・培養に着手した。これによって、より生理的なcoculture条件が得られる。 以上、生理的条件下における実験系が確立し平成5年度以降に病態研究への道が開かれた。
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