研究概要 |
脳微小血管内皮細胞の培養系の確立と、共焦点レーザー蛍光顕微鏡による脳血管内細胞の細胞内Caのin vivo,real timeの観察系を確立した。高浸透圧刺激により細胞内Ca濃度の変化が観察され、高浸透圧による可逆性のBBB openingに細胞内カルシウムが関与している可能性が明らかにされた。コラーゲン膜(Cellugen)を用いたin vitro BBB実験が完成し、^<14>C-Sucrose、Ethylenglycole、Leucineを用いて確認した。leulotrienC4,serotonine等のchemical mediatorによるBBB透過性の変化も確認した。 病的状態における脳微小血管内皮細胞の変化を検討した。無酸素負荷に対する脳微小血管内皮細胞の反応、特に糖輸送キャリアーの変化を明かにした。次に、Leukotrien C4の脳微小血管内皮細胞に対する影響とgamma-GTPの関係を明らかにして、脳神経外科学会内で論議されていたgamma-GTPがLTC4に対するenzymatic carrierとして働いているのではないかという仮説を棄却し、議論に終止符を打った。この結果は“International Symposium on Brain Edema"に報告した。 研究を進めるにしたがい、脳微小血管内皮細胞自体の病的状態における様々な問題、例えば糖やアミノ酸輸送キャリアーの変化などの問題に手をつけざるを得ず、結局脳微小血管内皮細胞と星状神経膠細胞のcocultureへと進むことは1年延ばして平成5年度後半からとした。現時点で、脳微小血管内皮細胞の生理的な実験と、いくつかの病的条件かでの実験を終了し、星状神経膠細胞とのcocultureにすでに着手した。 平成6年度は、in vitroの脳血液関門実験系を確立する。同時に、星状神経膠細胞を障害した場合に生じる脳血液関門の異常を生理学的・生化学的に検出するシステムを確立する。これによって、脳のvolume regulationの主役である2つの細胞系の相互関係を明らかにし、病態理解と治療に結び付ける。
|