研究分担者 |
穀内 隆 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (30178248)
富田 洋司 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (90252775)
玉木 紀彦 神戸大学, 医学部, 教授 (10030941)
TOMITA Youji Kobe University School of Medicine, Department of Neurosurgery, Assistant Profes
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研究概要 |
脳血液関門に関して脳毛細血管内皮細胞を用いて次の研究を行った。 (1)in vitro 脳血液関門実験系を用いた研究 ラット脳微小血管内皮細胞をAudusの方法に準じて分離培養し、mesh上に単層培養して電気抵抗と14C-sucrose透過性を指標として脳血管透過性を測定するin vitro BBBの実験系を確立した。 Leukotriene C4(LTC4)の脳血管に対する作用にenzymatic barrierがあるという仮説を同実験家系を用いて検証して、gamma-GTPを欠如するin vitro BBB実験系においてもLTC4による透過性亢進を認めないことから、gamma-GTPがenzymatic barrierとして働くという仮説を棄却した。 脳腫瘍治療における高浸透圧溶液による可逆性脳血液関門開放の機序を明らかにするために、培養ラット脳毛細血管内皮細胞を用いたBBB実験系とin situ brain perfusion法によるin vivo実験系によってBBBの可逆的開放の時間的経過を明らかにした。次に、共焦点レーザー顕微鏡を用いて高浸透圧溶液作用後の細胞内Caイオンの変化を観察し、作用後の急速な細胞内Caイオンの増加と経時的な細胞内から細胞外へのCaイオンのくみ出しを確認した。この時間的経過はin vitro,in vivoのBBB実験系における経過と一致していたことから、細胞内Caイオンの変化が可逆性BBB開放の機序に関与していると結論した。 (2)低散素条件下における脳微小血管内皮細胞の障害機序と保護の検討 虚血性脳障害における脳血管内皮細胞の関与をフリーラジカルの産生とそれによる細胞障害の見地から研究すするために培養ヒト脳微小血管内皮細胞を用いたin vitro実験系を確立した。それによって、低酸素後の再酸素化による内皮細胞細胞障害が内皮細胞自身が産生するフリーラヂカルによるものであることを明らかにした。次に、NOが低酸素条件下で増加することを明らかにした後、それがフリーラヂカルの産生を介して細胞障害性に働くかいなかの基礎実験を行った。 (3)脳毛細血管内皮細胞に対するANP,BNP,CNPの作用の検討 脳のvlume regulationにおけるnatriuretic peptidesの関与を明らかにするために、ANP,BNP,CNPを作用させて細胞内のc-GMPの増加を測定する実験系を用いて、培養脳血管内皮細胞にはANPレセプターは発現しているが、BNPとCNPのレセプターは発現してないことを明らかにした。
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