研究課題/領域番号 |
04670868
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
間部 英雄 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (20093073)
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研究分担者 |
神谷 健 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (70137115)
永井 肇 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (00023747)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 脳虚血 / 脳浮腫 / PKC / Na^+ / K^+-ATPase |
研究概要 |
虚血性脳浮腫の発生に対するプロテインキナーゼC(PKC)の関与を検討するために、中大脳動脈閉塞による局所脳虚血を作製し、虚血脳におけるPKC活性、Na^+/K^+-ATPase活性及び水分含量の虚血による変化を調べ、更にPKCのactivator及びinhibitor投与によるNa^+/K^+-ATPase活性ならびに脳水分含量に対する影響を検討した。ラットを用いて、頚部の内頚動脈から糸付塞栓子を中大脳動脈まで挿入し、局所脳虚血を作製した。虚血2時間後では、虚血前に比べてPKC活性はむしろ亢進していたが、推計学的に有意ではなかった。虚血4時間後ではPKC活性は有意に低下し(p<0.001)、虚血24時間後では更に低下した(p<0.001)。脳水分含量は、脳虚血4時間後では、虚血前の78.59%から80.16%へと有意に増加した。PKCのinhibitorであるH-7あるいはstaurosporineの投与では非投与群と比べて有意な変化を示さなかった。PKCのactivatorであるphorbol ester投与では、虚血作製4時間後の脳水分含量は、79.59%と薬剤非投与群と比べて有意に増加が抑制された(p<0.01)。脳虚血により、虚血作製4時間後の虚血側大脳半球のNa^+/K^+-ATPase活性は非虚血側大脳半球に比べて低下した。phorbol ester投与では、虚血作製4時間後の虚血側大脳半球のNa^+/K^+-ATPase活性は、非虚血側大脳半球と同程度まで上昇した。 局所脳虚血作製4時間後における虚血脳では、Na^+/K^+-ATPase活性の低下がみられ、これに伴って、脳浮腫が発生しているのが認められ、この脳浮腫はPKC inhibitor投与では軽減されなかったが、PKCのactivator投与により、Na^+/K^+-ATPaseの低下が抑制され、脳浮腫が軽減した。これらの結果から脳虚血においては、PKC活性の低下が、Na^+/K^+-ATPase活性に影響を及ぼし、虚血性脳浮腫の発生に関与している可能性が示唆された。
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