研究課題/領域番号 |
04670872
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
戸谷 重雄 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40051205)
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研究分担者 |
池田 圭郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10222879)
戸田 正博 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20217508)
白尾 智明 群馬大学, 医学部, 教授 (20171043)
植村 慶一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90049792)
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キーワード | ドレブリン / 細胞接着 / 細胞骨格蛋白 / 神経発生 / 遺伝子導入 |
研究概要 |
申請者らが同定したドレブリンは神経系の発生過程で特徴的に発現する蛋白質であり、ヒト及びラットでは2種類のアイソフォームE、Aよりなる。それぞれのmRNAは1種類の遺伝子から可変スプライシングの機構により作られ、成熟後にも存在するドレブリンAは神経特異蛋白であり、分化した神経細胞のみに特異的に発現されている。今回、そのドレブリンA cDNAをもつ発現ベクターをL細胞に導入してドレブリンを安定的に発現する形質転換線維芽細胞MiwD‐6を確立した。MiwD‐6とL細胞にtubulinの脱重合剤であるcolcemidとactinの脱重合剤であるcytochalasin Dを加えたところ、L細胞のほとんどが球形化したのに対し、MiwD‐6の細胞突起は比較的よく維持された。一定濃度のcolcemid存在下において、この形態変化とcytochalasin D濃度との間には正の相関を認めた。また、MiwD‐6とL細胞のcell spreading及びcell adhesionには有意差を認めなかったが、cytochalasin D存在下では両方ともMiwD‐6のほうが優っており、有意差を認めた。各脱重合剤添加時のtubulinおよびF‐actinの免疫染色では、微小管、ストレスファイバーの形状変化は両者同様であったが、抗ビンキュリン抗体を用いてcytochalasin D添加時の接着斑を解析すると、MiwD‐6のほうがL細胞よりも接着斑がよく維持されていた。 以上の結果から、ドレブリンはactinの重合状態を変化させることによって接着斑の安定化にも関与している可能性が示唆され、細胞骨格のみならず細胞基質間接着にも注目して研究を進めることとなった。当初、計画していたSH‐SY5Y細胞への遺伝子導入とは異なる部分もあるが、神経組織発生過程の細胞移動にも関連あるものと思われ、有意義な研究方向であると思われた。
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