研究概要 |
平成4年度は、各種グリオーマ培養細胞あるいは新鮮グリオーマ組織における各増殖因子の存在および分布をnorthern blottingあるいはin situ hybridizationにて確認した後に、各種増殖因子に対する中和モノクロナール抗体をカクテルして用いたin vitroの腫瘍増殖抑制効果の実験を施行した。 すなわち、我々の持つ十種類の悪性グリオーマ培養細胞の中からEGF‐R,FGF,PDGFの3種類の増殖因子を同時に発現している細胞をenzymeimmunoassay法で選択し、その細胞に対する増殖抑制効果を複数の増殖因子の中和モノクローナル抗体と単独の中和モノクローナル抗体で比較検討した。増殖抑制効果をみる指標としては、2種類の方法を用いた。それは、MTT assayと^3 H thymidine incorporation assayである。このin vitroの実験で、現在のところU-87MGとU-373MGの二つの培養細胞がよく反応することが最近判明した。そこで、現在はこの二つの細胞の増殖抑制を行う至適抗体量の検索を行っているところである。さらに、これらの細胞を用いたin vivoの実験もさらに進行中であり、一部はすでに開始した。すなわち、U-87MGあるいはU-373MGの細胞の5X10^5個をヌードマウスの皮下に移植して、これら複数の増殖因子中和モノクローナル抗体を腹腔内投与して腫瘍増殖抑制曲線を作成してその効果を確認すると共に、RIをラベルした中和モノクローナル抗体を用いてbiodistributionを検討することにより腫瘍への選択的集積性の相違を検討中である。
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