研究課題/領域番号 |
04670878
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
深井 直実 東京都老人総合研究所, 細胞生物学部門, 研究員 (60134681)
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研究分担者 |
坂元 寛志 東京都老人総合研究所, 細胞生物学部門, 研究員 (70150224)
山本 清高 東京都老人総合研究所, 細胞生物学部門, 主任研究員 (90073022)
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キーワード | ウィリス動脈輪閉塞症 / 血管平滑筋細胞 / 細胞増殖 / 増殖因子 / PDGFレセプター |
研究概要 |
ウィリス動脈輪閉塞症(モヤモヤ病;以下本疾患)の病因を解析する目的で、培養血管平滑筋細胞を用い、各種成長因子に対する反応性に関して検討した。対照の正常平滑筋細胞ではPDGF単独で強い増殖活性を示し、EGF、IGF-1とのsynergic効果は殆ど見られない。これに対し、本疾患患者からの平滑筋細胞ではPDGFに対する増殖活性が有意に低下していた(しかしEGF、IGF-1とのsynergic効果は見られた)。basicFGFに対する反応性もほぼ同様で、本疾患患者からの平滑筋細胞では細胞増殖に対する反応性が有意に低下していた。 次に、膜受容体の差異についてradio-receptor assayをしたところ、^<125>1-PDGFspecific bindingも低下していた。V-maxは106±42.8であり、正常細胞の約1/2の値を示した。細胞1個当りのレセプター数にも差がみられ、本疾患患者からの平滑筋細胞では4.7x10^4であり、正常細胞(11.9x10^4)の約1/3であることが判明した。しかし、Kd値は30-160の範囲(平均値;99.7)に分布し正常細胞のKd値(平均値;147)と有意差はなかった。これらの結果は本疾患患者の平滑筋細胞のPDGFに対する反応性の低下はPDGFreceptor数が低下したことに起因していることを示している。 そこで、^<125>I-PDGFのprocessingについて調べた。degradation(細胞当りの)もまた本疾患平滑筋細胞では有意に低下していた。しかし、各receptorにおけるinternalizationやdegradationは両者の間で差は観察されなかった。PDGFreceptorのdown-regulationは本疾患平滑筋細胞では有意に亢進していたが、これらの結果はPDGFreceptorのrecyclingが不十分であるか、または細胞内のpoolが減少していることを示している。
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