ラットを使った同種神経移植において血管柄付き神経移植群と遊離神経移植群の神経再生をCAT活性値、病理組織学的検査、筋電図で評価した。免疫抑制剤投与期間を制限して神経再生後に投与を中止して良好な神経再生の維持が可能であるかを調べた。ラットはFisher系とBrown-Norway系の主要組織適合抗原不適合間において同種移植を施行。免疫抑制剤としてFK506を使用した。 モデルはFK506非投与群、2、4、6、8週投与群を設定し16週目に標本を採取した。また再生神経が成熟して神経筋接合部に到達した後の薬剤中止効果をみるために12種投与後して中止直後、中止後4週目、中止後8週目調査群を追加した。 検索法は移植神経中央部より採取した神経片をH-E染色、Luxol Fast Blue染色Glial Fibrillary Acid Protein染色を施し、拒絶反応、軸索、髄鞘、シュワン細胞の状態を観察した。また移植神経片遠位吻合部の5mm末梢より神経片を採取してCAT活性値を測定した。 結果は移植神経片を再生軸索の通過が完了する6週以前に免疫抑制剤を中止した群は良好な神経再生を獲得できなかった。しかし軸索再生が完了する8周以降までFK506を投与した群は最終的に良好な再生を維持した。 免疫抑制剤中止後の効果としてドナー由来の組織である軸索は薬剤中止後も拒絶反応は起こらなかった。レシピエント由来のシュワン細胞、髄鞘には薬剤中止後4周目に一旦拒絶反応が生じたが、その後4週で再び回復した。 同種神経移植において免疫抑制剤の投与期間を限定することが可能であった。 全ての再生軸索が移植神経片を通過するまで投与する必要があった。 CAT活性値は今回の実験のように一度に大量の検体を評価する時に非常に有効な検査法であった。
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