前年度までの実験にひき続き、今回は200個の鶏卵CA膜上で、受精14日卵鶏胚の大腿骨全長を10日間培養し、それに10および40ガウスの50Hz交流磁場を照射し、培養大腿骨の成長を磁場照射の有無で経時的に計測し、成長帯の組織像を検討した。培養大腿骨は経時的に成長し、培養10日でほぼ18日正常鶏胚大腿骨の大きさにまで成長した。培養大腿骨間では、磁場非刺激群、20ガウス刺激群、40ガウス刺激群間で成長に明らかな差を認めなかった。組織学的にも刺激群、非刺激群間で増生帯の形成に明らかな差を認めなかった。20日鶏胚外観の各刺激群間における比較では、四肢の奇形などは認めなかったが、鶏胚重は刺激群が大きい傾向であった。肝臓、腎臓などの組織像では明らかな差は認めなかった。これらの結果は第8回日本整形外科学会基礎学術集会および第20回「磁気と生体」研究会で発表した。損傷骨の培養実験では、20および40ガウス刺激群では10日培養時において、組織学的に修復程度に明らかな差を認めなかった。また、オステオカルチンの測定では測定値にばらつきがあり、なを改良を要する。現在、磁性体および非磁性体の金属を骨髄内に挿入したものを培養し、磁気の骨に及ぼす影響を検討中である。また試作したパルス磁場装置を用いて、交流磁場で行なってきた実験と同じ検索事項を検討中である。
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