研究課題/領域番号 |
04670940
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
後藤 文夫 北里大学, 医学部, 教授 (00092015)
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研究分担者 |
中村 国衛 北里大学, 医学部, 助教授 (00118829)
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キーワード | natriuretic peptide / ventricular natriuretic peptide (VNP) / renal function / cardiac function |
研究概要 |
ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)とウナギ心室より抽出されvent ricular natriuretic peptide(VNP)の全身循環並びに腎への作用点を比較検討した。雑種成犬を用い、hANPまたはVNPを投与して腎機能並びに心機能を測定した。 全身循環に影響を与えない、微量(2ng/kg/min)のANPまたはVNPを腎動脈に注入すると、尿量、糸球体濾過値(Ccr)、Na排泄率(FENa)並びにリチウム排泄率(FELi)は両群ともに有意に増加した。遠位尿細管の再吸収阻害率を示す、distal tubular rejection fraction of Na(DTRFNa=100-100(FELi-FENa)/FELiも増加した。 ANPの投与量を8ng/kg/minに増量すると、左心室圧の上昇速度を微分したdp/dt・MAXは不変であったが、心拍出量は減少した。一方、VNPは4-8ng/kg/minの投与で心拍出量の増加とdp/dt・MAXの有意な上昇を認めた。 以上の成績から、VNPはhANPと同様にGFRの増加、近位並びに遠位尿細管のNa再吸収能抑制等を介して利尿作用を発現することが明らかにされた。一方、心機能に対しては、hANPが抑制作用を示しのに対して、VNPは陽性変力作用(心拍出量とdp/dt・MAXの有意な上昇)を示した。このhANPとVNPの差は、産生母体(ヒトと水中に棲むウナギ)の差、産生組織(心房と心室)の差などから当然考えられることではある。しかしながら、VNPの陽性変力作用と利尿降圧作用は臨床的観点からきわめて興味深い特性である。 虚血腎に対する作用、並びにルミネッセンスリーダを用いた活性酸素の産生量と腎機能の相関に関するデータは現在検討中である。 尚、ANPとVNPの長期保存、並びに動物のサンプル保存には、今回設備備品として購入した冷凍冷蔵庫(KNT-18)を用いた。
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