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1992 年度 実績報告書

老年期痴呆の責任病巣が下部尿路機能に及ぼす影響についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 04670948
研究機関秋田大学

研究代表者

能登 宏光  秋田大学, 医学部, 助手 (60164711)

研究分担者 原田 忠  秋田大学, 医学部, 講師 (00108953)
キーワード脳血管障害 / 老年期痴呆 / 尿失禁 / 下部尿路機能 / MRI / 電気刺激 / 橋排尿中枢 / 海馬
研究概要

臨床研究として、脳血管性老年期痴呆患者の排尿状態と尿路管理成績を検討した。脳血管障害後遺症でシルバー病院に入院した患者100名を65才以上の高齢者群とそれ以下の非高齢者群に分けると、65才未満の患者は51名(男37名.女14名.平均54.8才)で痴呆患者は16名(31.4%)、65才以上の患者は49名(男21名.女28名.平均72.8才)で痴呆患者29名(59.2%)であった。65才以上の患者を対象として痴呆でない患者と痴呆患者に分けて検討すると、尿失禁の出現頻度は、痴呆でない患者で42%だったのに対して痴呆患者では84%で、痴呆患者に高率に尿失禁が見られた。リハビリテーションを行いながら泌尿器科的尿路管理を行ったところ、痴呆でない患者では尿失禁が25%に減ったのに対し、痴呆患者では72%の患者に相変わらず尿失禁があった。CTやMRIで脳病変を検討したところ、大脳半球の3分の1以上を占めるような大病変例16例中14列(87.5%)が痴呆患者で、そのうち13例に尿失禁があった。脳病変部位と下部尿路機能障害との関係を検討したところ、痴呆の有無に関わらず前頭葉、基底核あるいは内包病変例に無抑制膀胱収縮が多かった。
基礎的研究では、まず除脳ネコとウレタン麻酔ラットで正常排尿反射時の下部尿路機能状態を観察した。ネコもラットも膀胱収縮とともに内、外尿道括約筋は弛緩した。ネコでは尿道は持続的に弛緩し膀胱収縮後半に律動性収縮を始めたが、ラットでは尿道は一過性に弛緩した後、2〜3/秒の周期で律動的に収縮と弛緩を繰り返した。しかし横紋筋弛緩剤を投与すると、ネコもラットも膀胱収縮に伴い内尿道括約筋部内圧は下降した。ネコの橋排尿中枢の電気刺激では膀胱充満刺激時と同様に膀胱が収縮して内、外尿道括約筋は弛緩し、電気的に破壊すると排尿反射は抑制された。ラットの脳(脳幹部、海馬、扁桃体)を電気刺激したが排尿反射誘発や抑制の再現性が悪く、電極や刺激条件を再検討中である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Noto,H.,Harada,T.,Nishizawa.O.,et al: "Transabdominal ultrasonographic cystourethrography for evaluation of the pelvic floor muscle activity." J.Urol. 147. 438A- (1992)

  • [文献書誌] Sato,K.,Noto,H.,Nishizawa,O.,et al: "Brainstem control of the internal and external urethral sphincter activities in decerebrate dogs." J.Urol. 147. 348A- (1992)

  • [文献書誌] Nishizawa,O.,Sugaya,K.,Takahashi,T.,et al: "Alpha-2 adrenergic effect on the vesicomethral function of the male decerebrate dog." Neurourol.Urodyn.11. 350-352 (1992)

  • [文献書誌] 能登 宏光: "排尿抑制機構について" 日泌尿会誌. 83. 808-811 (1992)

  • [文献書誌] 能登 宏光,西沢 理,土田 正義: "機能からみた解剖生理ー排泄する(排尿)ー" ブレインナーシング. 8. 865-871 (1992)

  • [文献書誌] 塙 篤美,能登 宏光,宮本 勇二,他: "老人保健施設における排尿障害の実態" 臨泌. 46. 135-137 (1992)

  • [文献書誌] 能登 宏光: "泌尿器科MOOK2,尿失禁治療のキーポイント 脳障害による神経因性膀胱" 金原出版, 104-113 (1992)

  • [文献書誌] 土田 正義,能登 宏光: "尿失禁の臨床 脳血管障害と尿失禁" 中外医学社, 111-124 (1992)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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