研究課題/領域番号 |
04670952
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
木原 和徳 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (40161541)
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研究分担者 |
北原 聡史 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10186257)
大島 博幸 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60013934)
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キーワード | 尿路上皮癌 / 細胞間コミュニケーション / 分化 |
研究概要 |
本研究は尿路上皮癌の分化度を変化させ、それに伴う細胞間コミュニケーション(IC)の変動を測定し、尿路上皮癌の発癌過程および悪性進展におけるICの作用を解析することを目的としている。【対象・方法】ヒト膀胱細胞(JTC-30、JTC-32)を対象として以下の2つの方法で分化度の変化と考えられる現象を誘導した。1)JTC-30のTPA(12-0-tetradecanoyl-phorbol-13-acetate)への接触:中等度分化型膀胱癌細胞JTC-30はTPAによりその形態を敷石状から線維芽細胞様に変化させ(JTC-30TR)、ヌードマウス移植により低分化型の組織型を示すとともに筋層浸潤を示した。2)JTC-30、JTC-32への正常細胞由来染色体の移入:11番染色体移入によりヌードマウスに腫瘍を形成しない正常化細胞が作製された(鳥取大学)。【結果】1.JTC-30は良好なICを示し、TPAに接触させたJTC-30TRはそのICが低下しTPAの接触を解除するこにより形態、IC共に旧に復した。JTC-30とJTC-30TRとのICは低下していた。2.JTC-30への染色体移入はマイコプラズマ感染のため中断しており、JTC-32について検討した。JTC-30は良好なICを持ち、11番染色体移入細胞は著明な形態変化と増殖能の低下を示し、そのICは著しく低下していた。又、親のJTC-32と染色体移入細胞間のICはほとんど欠如していた。【考察】膀胱癌細胞の分化度を下げる(悪性度を上げる)方向の変化に伴うICの変動はそのICを失う変化が観察され、これは癌細胞のgrade upとICの低下との関連を示すとともに、JTC-30とJTC-30TRとのICの低下の所見は発癌時のプロモーション過程で想定されているIC遮断のメカニズムをgrade upで想定させるものである。分化度を上げる(悪性度を下げる)方向の変化に伴うICの変動でも、そのICを失なう方向の変化が観察されたが、親細胞と染色移入細胞とのICの欠如が観察され、癌細胞に特有のICが失われている過程ではないかと想定している。
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