尿路の伸展標本の作成に関し、ラットの腎盂尿管および、ヒト、イヌの尿道上皮の伸展標本を作成し、その方法を確立した。 ラット腎盂尿管の伸展標本を用い、カルシトニン遺伝子関連ペプチド含有神経の詳細な分布形態を調べた。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)含有神経は腎盂尿管に豊富に分布していた。尿管ではその長軸方向に平行に走行し、均一に分布していた。一方、腎盂においては、格子状に分布しており、それぞれが、輪状筋、縦走筋に分布する神経に一致していた。輪状筋に平行に分布する神経は遠位に密に分布していた。尿管の結紮実験により、腎盂尿管のCGRP含有神経の軸索流が遠位から近位に流れることが判明した。腎盂尿管を通じ、上皮内に分布するCGRP含有神経が存在した。 雄イヌの尿道上皮の伸展標本を用いてCGRP含有神経の分布形態を調べた。前立腺部から脚問部尿道に最も豊富に分布し、遠位ほど減少した。分布するCGRP含有神経の末梢形態には2種類あり、数珠状線維が顕名なタイプ、数珠状形態をとなないタイプに分けられた。これら2種類の線維は、同一の神経線維から分枝していた。この結果はCGRP神経からのCGRP放出の機序として提唱されている軸索反射の形態的モデルと考えられた。 生理学的、薬理学的検討において、in vitroの実験から、ヒト膀胱では、エンドセリンA受容体がエンドセリンB受容体に比較して優位に作用していることが明らかとなった。
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