研究課題/領域番号 |
04670969
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
真崎 善二郎 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (40038716)
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研究分担者 |
市木 康久 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (00193441)
井口 厚司 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (40136619)
木下 徳雄 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (20145204)
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キーワード | 腎細胞癌 / 脈管内遊離細胞 / 癌転移 |
研究概要 |
腎細胞癌は、手術中の腫瘤触診操作で、腫瘍細胞が腎静脈を経由して全身に播種を起こすといわれているが、これはまだ、実際に証明されているわけではない。このことを確かめる目的で、摘出した腎細胞癌を、in vitroで触診操作を行ない、腎静脈へ腫瘍細胞が遊離されるか否かを検討した。平成4年度は、本施設が経験した13例の腎細胞癌を検討した。摘出腎の動静脈にカニュレーションし、生食水で潅流し、静脈側から流出する生食水を試験管に採取した。遠沈後のペレットにパパニコロ染色を行ない、細胞診として観察した。その結果、多核白血球やリンパ球に混じって、やや核が大きい、N/C比が高い細胞がみられた。これらの細胞はmanipulation前にも認められたが、触診後に明らかに高い率で、異常細胞がみられたのは1例で、この症例は病理組織検査で静脈侵襲が認められた。しかし、パパニコロ染色だけでは細胞診学的にこの細胞が腫瘍細胞であることの確信ができないなどの問題点が明らかになった。 そこでこの点を解決するべく、次の様な実験計画を立てた。1)得られた細胞に各種特殊染色を行なう。2)腫瘍割面のタッチ細胞診標本と比較する。3)潅流液中の細胞培養と腫瘍細胞の培養を行ない、比較する。これらの検討は現時点では、1ないし2例の少数例しか行なっていないが、下記の様な結果が得られた。サイトケラチン、ビメンチンの免疫組織化学染色では触診前後中とも陽性細胞がみられ、潅流液中に非血球性細胞が存在する可能性を示唆した。タッチ細胞診では、異型細胞がみられ、潅流液の細胞と比較するとやや大型であった。また、潅流液の細胞培養では、皿底面に接着した単位面積あたりの細胞数は、触診後の潅流液の方が多かった。しかしその細胞数はあまりに少なく、細胞が増殖するまでには至らなかった。引き続き今後も、潅流液の細胞が腫瘍細胞であるか否かを、これらの検討で確かめていきたい。
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