研究課題/領域番号 |
04670970
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
溝口 裕昭 大分医科大学, 泌尿器科, 講師 (40157524)
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研究分担者 |
今川 全晴 大分医科大学, 泌尿器科, 助手 (10168510)
中川 昌之 大分医科大学, 泌尿器科, 講師 (90164144)
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キーワード | 腎細胞癌 / 制癌剤耐性 / トポイソメラーゼII |
研究概要 |
腎細胞癌の治療上での問題点の1つとして、癌化学療法に対する抵抗性(耐性)がある。これは化学療法を行う以前から腫瘍細胞が有している場合の自然耐性と、化学療法後に耐性を示してくる獲得耐性に分けられるが、腎細胞癌の場合は前者であると考えらている。我々は、現在、腎細胞癌の治療として、術前2週間前よりインターフェロンα(IFNl)を連日筋肉内投与を行い、腫瘍摘出術を行っている。そこで今回、我々は術前にINFαを2週間投与することにより、制癌剤耐性遺伝子の発現がどのように変化するかを、IFNα非投与群と比較して検討した。今回我々が検討した制癌剤耐性遺伝子は(1)mdrl(2)GST-a(3)DNAトポイソメラーゼ2である。手術時摘出腎組織より腫瘍部分と正常腎組織を分けてグアニジンイソシアネート法により、RNAを抽出し、Northern Blot法及びRNA Slot Blot法で各遺伝子発現量を比較検討した。 (1)その結果、mdrl遺伝子は正常腎組織及び腎癌組織に同程度の発現がみられた。そしてこの発現の程度はIFNαの投与で影響を示さなかった。 (2)GST-a遺伝子は腎癌組織より正常腎組織で多く発現がみられた。腎癌ではその発現はIFNα投与で増強した。 (3)DNAトポイソメラーゼII遺伝子の発現は腎癌の方が正常腎組織よりも強く発現しており、IFNα投与によりその発現程度は減少する傾向がみられた。 以上より、組織内DNAトポイソメラーゼ2遺伝子の発現量の変化が、腎細胞癌における制癌剤耐性の指標となりうると考えられた。
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