研究概要 |
精巣腫瘍患者のうち、多発性肺転移、巨大な腹部腫瘤、腫瘍マーカー異常高値などの予後不良因子を有する難治性精巣腫瘍患者4例を対象に、連続血球分離装置(CS-3000)を用いて末梢血幹細胞の採取を行った。これまですでにcytarabine大量療法を用いた採取前化学療法を1例に行い、1回のapheresisで十分量の幹細胞が採取できたが、精巣腫瘍に対する感受性の上からは十分とはいえなかった。そこで本年度より採取前化学療法として、4例にetoposide(VP-16)大量療法(2,000mg/m^2)を行った。採取前化学療法開始後、白血球数がnadirとなった時点から顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)250μg/body/dayを連日投与し、apheresisは白血球数の回復期に連続血球分離装置(CS-3000)を用いて約15Lの血液を処理した。採取した細胞はPercoll二層比重遠心法により分離、凍結、保存し、メチルセルロース法にて幹細胞の定量を行った。4例に対してapheresisを延べ8回行い、すべて1回のapheresisで安全な移植に必要な2×10^5/kg以上のCFU-GM(Eo)が採取できた。さらに幹細胞の採取期間中に、VP-16大量療法では腫瘍の著明な縮小を認めた。以上のように精巣腫瘍に対する採取前化学療法としてはVP-16大量療法が採取効率がよく、しかも感受性の高いことがわかった。 この4例に対して、まずfirst line chemotherapyを行い、完全寛解を3例に、部分寛解を1例に認めた。 部分寛解となった1例に対して、carboplatin 800mg/m^2,VP-16 1000mg/m^2,CPM 100mg/kgを用いた超大量化学療法を行った後にPBSCTを施行したところ、完全寛解を得た。白血球、血小板の立ち上がりは速やかで、その他重篤な副作用もなく、一般泌尿器科病棟で施行できた。 以上のように、本研究は計画通り順調に進行し、成果をあげている。
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