犬の遠位尿細管の性質をもつMDCK細胞を定量的に培養し蓚酸カルシウム結晶がその細胞表面に付着する形態を位相差顕微鏡および走差型電子顕微鏡で観察し、極めて短時間に洗浄しても剥れない、強固である種の有機的な付着がみられることを確認した。 定量倍養されたMDCK細胞と蓚酸カルシウム結晶を一定条件で接触させた後に、付着する結晶量を原子吸光分析で定量的に測定するシステムを考案し、その付着は濃度依存的および時間依存的なものであることが認められた。 また、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペントサン硫酸あるいはコンドロイチン硫酸等のglycosaminoglycanでMDCK細胞の表面を前処理することで、蓚酸カルシウム結晶の付着が濃度依存的に強く抑制されることを形態学的および生化学的に確認した。 さらに、Toriton×100や稀塩酸で細胞表面を前処理することにより、蓚酸カルシウム結晶の付着が、前処理の時間依存的に抑制されることが認められた。 尿細管細胞に対して毒性を示すといわれているゲンタマイシンの混入する細胞培養液で培養することによって、MDCK細胞表面の蓚酸カルシウム結晶の付着は有意におさえられることも確認した。
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