尿中に存在する蛋白質濃度と血尿にみられる赤血球細胞膜の生物学的機能に及ぼす影響をin vitroでACASを用いて検討した。 光化学物質の赤血球の取り込みはフェオフォーバイド(Ph‐a)がヘマトポルフィリン誘導体と比較して水溶性の性質のためか摂取率は良好であった。アルブミン濃度30mg/mlから400mg/mlまではこの摂取率は一定でこの範囲内では赤血球膜のPh‐aの摂取率には影響を受けないことが明らかとなった。アルブミン濃度を70mg/mlとした場合のPh‐a摂取率は溶液中のPh‐a濃度に依存しておりレーザー顕微鏡での観察ではほぼ正の相関を示した。Ph‐aの至適濃度は4mug/mlであり、添加2時間後には赤血球内に均等に分布する蛍光が観察された。臨床的に糸球体腎炎の既往がある症例の尿中赤血球を回収し同様にin vitroでPh‐aの摂取率を観察したが、添加30分後よりPh‐aの取り込みが開始され、さらに蛍光の分布は不均一であった。今後さらに検討すべき点もあるが下部尿路出血症例での赤血球に比較し赤血球膜の光化学物質透過性に明らかな相違が認められることから、血尿の原因疾患の鑑別に有用と考えられた。
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