研究概要 |
1.腎発育に関与する液性因子の検討 Snell下垂体性小人症マウス(dw)の腎組織を用いて、腎発育に及ぼす成長ホルモン、と甲状腺ホルモン(サイロキシン)の効果を生化学的、組織学的に各日齢ごとに検討した。 DNA,RNA,インスリン様成長因子-1(1GF-1)含量について検討すると、10日齢頃より正常対照群とdw/dwマウスに差が認められ、正常対照群では、その後も増加し続けるに対し、dw/dwマウスでは、DNA,RNAの増加は停止し、また1GF-1含量は減少した。また組織学的検索では、10日齢でdw/dwマウスに変化が認められた。これらの事から、成長ホルモンと甲状腺ホルモン(サイロキシン)は腎発育に関与しており、両ホルモンの欠損による影響は10日齢前後に始まり、これ以降に顕著となることが判明した。 2.片腎摘除術後の残腎の代償性肥大過程における成長ホルモンと甲状腺ホルモンの作用、Snell下垂体性小人症マウス(dw/dw)を用いて、代償性腎肥大におけるGH、T4の効果を生化学的に検討した。左腎を摘出し、一週間くらいに代償性腎肥大を検索した。40日齢正常マウスとdw/dwマウスともにそれぞれ52%、32%の腎重量増加が認められた。しかし両者とも細胞数、蛋白合成能に明らかな変化は認められなかった。このことは、40日齢でみられた代償性腎肥大にはGH,T4が直接関与していないと考えられる。
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