子宮内膜癌のスクリーニングは、通常子宮内膜細胞診によってなおされる。しかし、子宮頚癌のそれとは異なり、一般の染色法では偽陽性および偽陰性がしばしば認められるため、癌細胞に特異的な所見をさらに得ることが求められている。今回我々は、子宮内膜癌化に伴って発現される異状糖鎖を特異的に認識するモノクローナル抗体を以下の方法で作製し、スクリーニングなどの臨床的有用性について検討することを目的とした。すなわち、内膜細胞株HHUAから得られた糖蛋白質の糖ペプチドをマウスに免疫して、常法によりハイブリドーマを作製する。その後モノクローナル抗体のスクリーニングの段階で、正常内膜に発現されている糖鎖とは反応しないクローンを得るという方法によって、正常内膜とは反応せず、内膜癌細胞とのみ反応する特異性の高いモノクローナル抗体が得られると考えている。この作製された抗体によって免疫染色を用いて癌細胞を発見することはスクリーニングの糖度を上昇させ、子宮内膜癌の早期発見、早期治療に結びつくと考えられる。 その結果、子宮内膜癌の異常糖鎖を認識する1A4モノクローナル抗体と6G9モノクローナル抗体を作製し、正常子宮内膜組織と内膜癌組織において免疫組織染色を施工した。 子宮内膜癌の大部分が陽性であり、癌細胞の細胞膜と分泌粘液に局在を認めた。しかし、正常内膜組織でも高い陽性率を認め、現段階では子宮内膜癌に対する特異性はあまり高くなく、臨床応用には限界があり、今後のさらなる研究が必要と思われた。
|