ヒト卵胞液中のインヒビンの精製とリコンビナントインヒビン産生システム開発

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04670987
• 研究機関: 群馬大学
• 研究代表者: 長谷川 喜久 群馬大学, 医学部, 講師 (40092001)
• キーワード: ヒト卵胞液 / インヒビンの精製 / リコンビナントインヒビン / 免疫吸着クロマト

研究概要

1.ウシの卵胞液からインヒビンを精製し、そのインヒビンをヤギに免疫することによって高力価の抗体を大量に作成することができた。ウシインヒビンの単クローン抗体を結合させたアフィゲル10カラムに卵胞液を流し、素どうりする夾雑蛋白質を除いた後に酸性緩衝液で吸着しているインヒビンを溶出した。セファクリールS200によるゲルロカによって分離した後に逆相のHPLCによって最終精製を行った。このインヒビンをSDS-PAGEによってさらに精製しインヒビン分画のゲルをホモジェナイズしヤギに免疫した。毎月1回の免疫の後に約1リットルの血液を採取し抗血清を分離した。
2.抗ウシインヒビン抗体を用いた免疫吸着クロマトによりヒトの卵胞液からインヒビンを精製するシステムを開発した。ヤギで作った抗血清を33%硫安により部分精製した抗体を脱塩した後にアフィゲル10とカップリングし免疫吸着クロマトカラムを作成した。IVF時に採取したヒト卵胞液500mlをmatrex gel redA カラムに通しインヒビン分画を吸着させ、夾雑タンパク質を洗浄した。吸着したインヒビン分画は1モル尿素によって溶出したのちに脱塩し免疫吸着クロマトにアプライした。ウシのインヒビンと同様に非吸着タンパク質を充分に洗浄したのちに酸性緩衝液によりインヒビンを溶出した。この方法によってヒトインヒビンは1万倍以上に精製された。さらにスパーデックスpg200を用いたゲルロカと逆相のHPLCによってヒトのインヒビンを精製した。ヒトのインヒビンは分子量の異なる34kDaと28kDaのisohormoneが存在した。精製したヒトのインヒビンはβAサブユニット単クローン抗体によって染色されることからインヒビンAであることが明かとなった。

研究成果

• [文献書誌] K.Sugini,T.Nakamura,K.Takio,K.Miyamoto,Y.Hasegawa,M.Igarashi: "Purification and characterization of high molecular weight forms of inhibin from bovine follicular fluid." Endocrinology. 130. 789-796 (1992)
• [文献書誌] T.Nakamura,Y.Hasegawa,K.Sugino,K.Kogawa,K.Titani,H.Sugino: "Follistatin inhibits activin-induced differentiation of rat follicular granulosa cells in vitro." Biochimica et Biophysica Acta. 1135. 103-109 (1992)
• [文献書誌] K.Andoh,H.Mizunuma Y.Hasegawa,K.Yamada M.Michishita,Y.Ibuki: "Association of immunoreactive-inhibin levels with luteal function." Hormone Research. 37. 37-40 (1992)
• [文献書誌] T.Takeuchi,M.Seki Y.Hasegawa,K.Tsuchiya M.Itoh,I.Itoh,H.Shinozaki: "Further observations on serial serum immunoreactive inhibin levels in the luteal phase and early gestation after ovarian stimulation for in vitro fertilization and embrio transfer." Hormone Research. 37. 69-74 (1992)
• [文献書誌] H.Shinozaki,I.Itoh,Y.Hasegawa,K.Nakamura,S.Igarashi,M.Nakamura: "Cloning and Sequencing of a rat type II activin receptor." FEBS letters. 312. 53-56 (1992)
• [文献書誌] H.Kaneko,Y.Nakanishi,K.Taya,H.Kishi,G.Watanabe S.Sasamoto,Y.Hasegawa: "Evidence that inhibin is an important factor in the regulation of FSH secretion during the mid-luteal phase in cows." Journal of Endocrinology. 136. 35-41 (1993)