1.ウシの卵胞液から精製したインヒビンの抗体を用いたイムノアフィニテイクロマトグラフィーによってヒトの卵胞液中のインヒビンを初めて精製することに成功した。このヒトインヒビンを用いて特異的なヒトインヒビンの測定法を開発した。先ずインヒビンのαサブユニットの多クローン抗体をプロテインGアフィニテイクロマトで精製した。この精製抗体をポリスチレンビーズに結合させた。このビーズとインヒビンの標準品あるいは試料を反応させるとインヒビンは抗体によって捕捉される。さらに^<125>I標識したインヒビンのβサブユニットの単クローン抗体によってインヒビンを検出するimmunoradiometric assay(IRMA)を開発した。このインヒビンのIRMA法によってヒトインヒビンAの特異的測定法を初めて開発できた。 2.インヒビンAのIRMA法によってヒトの月経周期と妊娠中のインヒビンAの測定で試みた。月経周期中の血中のインヒビン濃度はimmuno-reactive(ir)インヒビンを測定するRIAでは排卵期と黄体期にピークを示したが、IRMAによる測定結果は感度以下であった。RIAとIRMAの測定感度はほぼ同じであるので、月経周期中に分泌されるインヒビンは殆どirインヒビンであることが示唆された。一方、妊娠中の血中インヒビン値はRIAとIRMAの双方によって測定され、妊娠初期と後期にピークを示す二相性のパターンを示した。IRMAの値はRIAの値の約40%であることから妊娠中にも多くのirインヒビンが分泌されていることが示唆された。 3.インヒビンのβBサブユニットのcDNAをCHO細胞に導入しリコンビナントアクチビンBの産生システムを開発すると共に純化することに成功した。
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