成長因子の一つであるアクチビンは骨髄では赤芽球の分化を促進し、卵巣では卵胞液中に存在しゴナドトロピンレセプターに影響を及ぼし得ることが示されている。 そこで先ず、ラット卵巣顆粒膜細胞初期培養でのゴナドトロピンレセプターの発現とそのmRNAに対する影響について検討した。培養メディウム中にアクチビンを添加するとFSHレセプターの発現とそのmRNAの産生は容量依存性に増加する。特にmRNAの産生は、メディウム添加後24時間後にピークとなるのに対し、レセプターの発現は36時間後にピークとなりmRNAの産生が時間的に先行することが認められた。 同様にしてLH/hCGレセプターについても検討を加え、LH/hCGレセプターはFSHレセプターと異なりアクチビン単独ではその発現とmRNA産生は起こらない。 ところがFSHがLH/hCGレセプターを誘導することを増強することが解った。 つまり培養メディウム中にFSHとアクチビン添加するとLH/hCGレセプターの発現とそのmRNAの産生はFSH単独添加と比較して数倍にも増加した。 又、レセプターの発現は96時間後、mRNAの産生は72時間後がピークとなりFSHレセプターの時と同様にmRNAの産生が先行している。 その上アクチビンがFSH、LH/hCGレセプターを誘導する時いずれの場合もcAMP産生の増加を認めなかったことからcAMPとは別の経路を介していることが示唆された。 更にラットアクチビンタイプIIレセプターのクローニングとそのシークエンスを行った。その塩基配列から想像されるアミノ酸配列は、マウスとヒトのタイプIIレセプターとはそれぞれ99.8%、99.4%の、ラットタイプIIBレセプターとは66.7%の相同性を持つことが明かとなった。 このアクチビンレセプターcDNAを用いて、上記の細胞培養細胞でのレセプターmRNAの存在を確認した。
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