研究概要 |
(1)婦人科癌細胞株のトポイソメラーゼ(Topo)-Iの発現を、酵素活性レベルとmRNAレベル(RT-PCR法による)で検討した。その結果、核蛋白のTopo-I活性は、Topo-I mRNAの発現の度合いと良い相関を示した。また、Topo-Iの発現が亢進した細胞ほど、Topo-I阻害剤(CPT-11)に対する感受性が高い傾向が認められた。 (2)婦人科癌細胞株(HHUA,HeLa S3,Caov-3)を用いて、Topo-I阻害剤(CPT-11)とtumor necrosis factor(TNF)との併用効果を検討した。その結果、いずれの細胞株でも、低濃度のTNFの併用によりCPT-11の効果増強が認められた。また、TNFは一過性ではあるものの癌細胞のTopo-I活性を増強した。 (3)内膜癌細胞株(HHUA,Ishikawa)を用いて(2)と同様の検討をinter-feron-γ(IFN-γ)について行った。その結果、IFN-γにもCPT-11の効果増強が認められた。しかし、IFN-γには、TNFのようなTopo-I活性増強作用は認められなかった。 婦人科癌細胞株における検討では、Topo-Iの発現が亢進した細胞ほどTopo-I阻害剤に対する感受性が高い傾向が認められた。同様のことが臨床検体(癌組織)でも認められれば、治療前に癌のTopo-I発現量を検討することでTopo-I阻害剤の有効性を予見できる可能性がある。また、そうした目的に微量の組織で検討可能なRT-PCR法によるTopo-I mRNAの定量は、一つの有用な検査法になりうると考えられた。したがって、今後は臨床検体を用いた検討にも力を入れていきたい。
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